患者様の権利と責務について
日本医師会会員の倫理向上に関する検討委員会の答申(2000.2)による医の倫理綱領・医の倫理綱領注釈に基づき、私たちは患者様の権利を尊重します。
医師は医療を受ける人々の人格を尊重し、
やさしい心で接するとともに、
医療内容についてよく説明し、
信頼を得るよう努める。
1:医療を受ける人びとの人格の尊重 インフォームド・コンセントの必要性
人格を尊重するということは、医師と患者が上下の関係にあるのではなく、対等な関係にあることを認識するということであって、話し合いの中でも言葉遣いを含め、互いに対等であることを認めあうことが大切です。また、医師はわかりやすく丁寧な説明を行い、患者様も十分に理解した上で治療方針の決定を行うことが必要です。
2:医療を受ける人びとの人権、自己決定権の尊重
医療におけるインフォームド・コンセントは、患者様をはじめとする人びとの人権擁護と自己決定権の尊重に基づいて生まれてきたものです。臨床研究の場においては、患者様の知る権利をはじめとする人権の尊重が求められています。また終末期医療、先端医療の場においては自己決定権の尊重が求められています。但し、すべてを人権、自己決定権のみで正当化できないのは当然でもあります。
3:情報の開示と医師の守秘義務
2000年1月より、日本医師会では診療情報の開示を、「診療情報の適切な提供を実践するための指針」(1999.4)に基づいて行っています。これはあくまで患者様自身に対するものであって第三者に対する公開ではありません。また、我が国では刑法によって、医師の守秘義務が定められており、診療情報の提供と開示にあたっては患者様の秘密やプライバシーへの配慮がとても大切なこととなっています。
2005年4月に全面施行された「個人情報保護法」により、医療機関も個人情報取扱事業者と位置付けられたため、患者様から得た個人情報を確実・安全に保管し、医師のみならず、すべての従業員等からその情報が外部に流出することのないよう、細心の注意を払って扱うことが重要です。
4:患者様に心やさしく接すること
医療を受ける立場にある人びとは、自身の健康と生命に関して不安や恐れを抱いていることが多いものです。このため対話にあたっては言葉遣い、表情や眼差し、態度や身振り手振りといった行動などにも注意を払い、患者様の気持ちをよく理解して、不安や恐れを与えることのないように努める必要があります。
5:患者様の責務について
より質の高い医療の提供と、病院と患者様とのより良い関係の構築のために、以下についてご理解をお願い申し上げます
- 患者様は良質で安全かつ効率的な医療の実践のため、医師をはじめとする医療提供者に対して、ご自身の正しい情報をお伝え下さい。
- すべての患者様が適切な医療を受けられるようにするため、患者様は他の患者様の治療や職員による医療提供に支障をきたさないようにご協力下さい。
私たちは専門病院として、皆さまに満足していただける医療を提供できるよう努力してきました。前述の日本医師会による患者様の権利尊重を先取りする形で『病院標語』を制定(麻生病院は平成7年11月、麻生北見病院は平成9年6月)し、日々実践してまいりました。今後も医療技術は進歩し、医療を取り巻く社会的環境や医師と患者様の関係もまた大きく変化して行くと考えられます。私たちはこれからも、良質な医療と患者様の満足、そして実状に則した権利擁護を目指して行きたいと思います。